憲法

靖国神社の公式参拝はなぜいけないのか?靖国神社問題についてわかりやすく解説。

この記事では靖国神社の公式参拝の問題について解説します。

2013年に安倍首相が靖国神社を参拝した際に、中国や韓国だけではなくEUやアメリカからも遺憾の意を伝えられました。

安倍首相は「日本のために尊い命犠牲にされたご英霊に対し、尊崇の念を表し、そして御霊(みたま)安かれ、なれと手を合わせて参りました」と記者団に発言しましたが、

戦争で亡くなった方々を参拝する事の何がいけないのか?と考える人も多いかもしれません。

この記事では靖国神社の参拝の問題と、歴代首相の公式参拝の問題点について解説します。

 

靖国神社の公式参拝とは?

内閣総理大臣や閣僚が靖国神社に参拝する際、玉串料を公費から支出して、記帳に公職の肩書きを記する事。

靖国神社の公式参拝は個人が私的参拝する事と区別して「公式参拝」と呼ばれています。

 

靖国神社の公式参拝は1985年の中曽根康弘首相の時に戦後初めて行われました。

中曽根首相が初めて公式参拝をするまでは、内閣総理大臣はあくまで「私人」として靖国神社を訪れて、政教分離の立場から「おはらい」や玉ぐし奉呈など儀式は行っていませんでした。

靖国神社を参拝して、一礼するのが習慣となっていたのです。

 

しかし、中曽根首相は公式見解を変更して生花を本殿に備え、玉串料も国の税金である公費から出費したのです。これには戦後、第二次世界大戦の遺族が首相の追悼を強く求めていたという背景があります。

中曽根首相の靖国神社公式参拝に対して野党だけではなく、中国や韓国が猛烈に反発をしてバッシングを受けました。

 

その後は、1996年に橋本首相、2001~2006年に小泉首相、2013年に安倍首相が「公私の区別を明言せずに」靖国神社の参拝を行っています。

 

管理人
靖国神社は神道だから政教分離の問題が絡んでくるんだね!

 

靖国神社参拝はなぜいけないの?

靖国神社の問題は政治と宗教を切り離す政教分離の問題でけではなく、歴史認識の問題や中韓をはじめとする国際政治の問題、複雑に広がっています。

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靖国神社は日本の敗戦後、他の神社と同様に1つの宗教法人となりました。

靖国神社は国のために亡くなった方々を祀る神社ですから、政教分離の原則に基づいて国と靖国神社を切り離すというのは難しい問題となったのです。戦争は国の政策によって行われたものなので、その戦争で亡くなった方々が祀られている施設を国とは無関係なものにするという論点だからです。

そのため、戦後も首相は公式参拝ではなく私人として参拝を続けていました。

 

政教分離の観点からの訴訟が相次いだのは、2001年の小泉首相の参拝からです。

小泉首相は2001年の8月13日に公用車にて秘書と靖国神社を訪れ、「内閣総理大臣小泉純一郎」と記帳、献花代3万円を納め参拝しました。

小泉首相は記者団に対して「私的な参拝」と発言しましたが、裁判は2006年の大阪高裁まで続きました。

公用車で参拝をした事や内閣総理大臣という肩書を記帳した事が裁判の争点でした。

裁判所は首相による参拝は違憲であり、「参拝は公的である」としたものの個人の信教の自由であるもとして賠償請求は行われませんでした。

 

管理人
国の戦争で亡くなった方を祀っている場所なので、厳格な政教分離が難しいという考えもあるよね!

 

歴史認識の問題

靖国神社の問題はお隣の中国や韓国から批判を浴びています。

靖国神社には戦死者が英霊とされて祀られていますが、東京裁判にてA級戦犯とされた戦争犯罪人も祀られています。

日本から侵略されたとする中国や韓国にとっては、「A級戦犯が祀られている靖国神社に公的な人物が参拝に行くのは、過去の戦争を肯定的に捉えている」という言い分です。

 

日本国内でも日本人が過去の戦争に対してどのように戦争責任を果たして、歴史認識を持つか?という事を論点に議論され、首相が靖国神社を参拝するべきではないという考え方もあります。

中国は1985年の中曽根首相による公式参拝の際に、首相の靖国神社参拝に対して批判を述べるようになりました。

この頃から日本国内でも靖国神社の問題に対して関心が高くなってきたのです。

 

A級戦犯に関しては、「平和に対する罪」という事で処刑が行われましたが、国内ではA級戦犯は犯罪者ではありません。

そのためA級戦犯の遺族にも全国戦没者追悼式への招待状が送られています。

 

管理人
中国、韓国からすると靖国神社の参拝が「侵略戦争の肯定行為」という事になっているわけだね!

 

そもそも靖国神社とは?

靖国神社の前身は1869年に創建されました。

明治天皇の命により戊辰戦争戦死者を祀るために東京招魂社(しょうこんしゃ)として作られたのです。その後、国内外の戦乱にて国のために亡くなった戦死者ためを英霊として祭るようになりました。

2004年時点で246万人以上の英霊が祀られています。

つまり戦争の戦死者達を祀るための施設なのですが、戦前の日本では国家神道として神道を国民統一のイデオロギーとして政治に利用されていたことが問題となっています。

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戦後、日本国憲法が制定され政教分離の立場から日本国政府の管理を離れて宗教法人となりました。

 

管理人
戦後、靖国神社を国家の管理下に置こうとする動きもあったんだよ!

 

まとめ

この記事では靖国神社の公式参拝の問題点について解説しました。

靖国神社は戦後、歴代の総理大臣が私人として参拝をしていましたが、1985年に中曽根首相が公式参拝を行いました。

これには戦争の遺族からの強い要望があったという背景もあります。しかし、中国や韓国から強い批判を受けて、その後の総理大臣は公私の区別を明確にはしていません。

首相による靖国神社の参拝が問題になる理由は、政教分離の観点だけではなく歴史認識問題や国際政治の問題が理由です。

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