この記事では第三次世界大戦の可能性について解説します。
2020年も年が明けてまだ日が浅い1/4の本日、twitterのトレンドでは『第三次世界大戦』という事がトレンド入りしています。
事のきっかけは、アメリカのトランプ大統領がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を空爆で殺害した事でした。
現地では緊張が高まっています。
今回は、第三次世界大戦が起きるかもしれないという状況か何故起きたのか?アメリカとイランの関係について解説をしたいと思います。
トランプ大統領の指示でソレイマニ司令官を殺害
事のきっかけはアメリカのトランプ大統領の指示でイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官が空爆で殺害された事でした。
攻撃をして殺害したアメリカ側の言い分としては、
『イラン革命防衛隊がアメリカに対する「戦争」を計画・準備していたため自衛権を発動して武力行使した』という理屈です。
12月31日にはお隣の国イラクの首都、バクダットにてアメリカ大使館の敷地内に群衆が乱入してアメリカ軍と衝突する出来事がありました。
この衝突の背景にはソレイマニ司令官の承認があったとされています。
アメリカは将来イランが攻撃してくる事を抑止するためにソレイマニ司令官を殺害したという根拠の声明を発表しました。
トランプ大統領はソレイマニ司令官の殺害完了報告を受けて、twitterの固定ツイートをアメリカの星条旗に切り替えたことも話題になっています。
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) January 3, 2020
トランプ大統領は3日に記者会見をして、「戦争を止めるためのものだった」と正当性を強調しています。

イラン政府とイラン国民の反応
イラン政府は報復を声明しています。
イランの国防・外交を統括する最高安全保障委員会はソレイマニ司令官の殺害を受けて緊急会合を開きました。
アメリカがソレイマニ司令官を殺害した事は、アメリカによる犯罪であり犯罪者にはふさわしい時と場所で報復を行うと発表したのです。
イラン国内では、各地でデモが行われ「米国に死を!」と声を上げながら星条旗に火をつけるなどの抗議活動が続いています。
ソレイマニ司令官はイランでは英雄的存在であったという事もあり、イラン国民は戦争も辞さない強い態度でアメリカを批判しているのです。
ソレイマニ司令官が率いるコッズ部隊は元々は少数精鋭の秘密部隊だったのですが、イスラム国掃討作戦で大きな役割を果たすなどしており、イラン国内ではある種の有名人だったのです。
イランのザリフ外相はアメリカの行為を「国際テロ」と表現しており、twitterでも強く批判する姿勢を取っています。
The US' act of international terrorism, targeting & assassinating General Soleimani—THE most effective force fighting Daesh (ISIS), Al Nusrah, Al Qaeda et al—is extremely dangerous & a foolish escalation.
The US bears responsibility for all consequences of its rogue adventurism.
— Javad Zarif (@JZarif) January 3, 2020

そもそもアメリカとイランはなぜ対立しているのか?
イランは元々1979年の「イラン・イスラム戦争」まではアメリカと仲の良い国でした。つまり親米国だったのです。
アメリカはイランの親米を利用して石油などの資源を獲得してきましたが、「イラン・イスラム戦争」後は突然、反米の国となってしまいました。
中東の国の中でもアメリカに近い国だったのですが、イラン国内にて革命が起きたことで、突然反米の国になってしまったのです。
同年には、新しい体制のトップになった最高指導者を熱心に指示する若者たちがアメリカ大使館を占拠する事件もありました。
占拠は1年以上も続いた事もあり、アメリカ国内でもイラン人に対する嫌悪の感情が芽生え始めてしまいました。
これにより、アメリカとイランは40年間以上、国交を断絶しています。
さらに2002年にはイランが核開発を進めていることが判明しました。
イランは核の平和的利用と主張してきましたが、核兵器に利用されるウランなども発見されており、アメリカはイランに対して強い経済制裁をしました。
例えば、日本がイランから天然資源を輸入していましたが、仮に日本がイランから天然資源を輸入したら、日本にも経済制裁を加えるという第三国を巻き込んだ強い経済制裁だったのです。
当然、ヨーロッパの国々もイランに核開発を止めさせるためにアメリカに同調して経済制裁を行いました。結果、イランの経済はガタガタに落ち込み、国内では混乱が続きました。
2015年にはオバマ大統領の政権時に「イラン核合意」が締結。
イランが核開発を止めることを条件に経済制裁を解くというものでした。つまり、オバマ政権時はイランとアメリカは歩み寄りをしていたのです。
オバマ大統領が交渉に交渉を重ねて長年かけて締結した「イラン核合意」をトランプ大統領はひっくり返して、イランに対して強い姿勢を見せているというのが昨今のアメリカとイランの関係です。
イラン核合意には、アメリカ、フランス、中国、ドイツ、ロシア、イギリスが6か国にて共同声明を発表していましたが、
トランプ大統領は一方的に「合意は欠陥だらけ」として、離脱を決めてしまいました。
イラン核合意から離脱したことで、アメリカは再び経済制裁を開始。これに対してイランは猛烈に反発したのです。

まとめ
この記事では第三次世界大戦が起きるかもしれないアメリカとイランの対立について解説しました。
本日1/4にアメリカが中東地域に3,500人の部隊を増派する事を発表して、緊張は高まっています。
今回のイラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官の殺害はアメリカにとっては、「将来起こりうる戦争を止めるため」の殺害と主張をしていますが、イラン側からすると国民の英雄とも言える人物を不当に殺害されたとして反発を強めています。
アメリカとイランは40年以上国交が断絶している国ですが、オバマ大統領時には「イラン核合意」にて歩み寄りをしていました。
それをトランプ大統領が一方的に合意から離脱して、再び経済制裁を強めた事でイランからしてもアメリカに対する負の感情が増幅したわけです。
日本は中東から資源の8~9割を輸入している国なので、第三次世界大戦という事になれば、混乱は防げないでしょう。
もちろん、戦争など起きずに穏便に対話をして合意に至って欲しいのですが、今回ばかりは緊張の水準が沸点にまで達してしまったという状況にしか見えないのが残念なところです。
■1/5追記
イラクのアメリカ大使館に何者かによりロケット弾が撃ち込まれました。
これらのロケット弾を誰が発射したのか、詳しいことはわかっておらず、地元の警察などが捜査しています。
イランがアメリカに報復する事を声明しているため、現地に緊張が走っています。