この記事では立憲君主制について解説します。
政治制度や政治組織の基本的なありかたを政治体制と呼びます。
政治組織は政党や圧力団体などの政治集団で、両者は深く関連し合って政治体制を形作っていますが、
世界の政治体制を、統治の主体が誰か?という観点から分類すると、大きく君主制と共和制に分けられます。
今回は立憲君主制と共和制の違いについて解説します。
立憲君主制とは?
憲法に従って君主が統治権を行使する政治形態
君主とは一般的に世襲により、国を治める最高位の人を指しますが、立憲君主制では、たとえ形式的であったとしても、自ら憲法の下位にあることを認めた統治の体制です。
つまり、君主は憲法に従います。
それに対して、君主が憲法をも超越して憲法の上位に属しているとしたら、それは絶対王政と言えるでしょう。
憲法の下位に君主があることから『制限君主制』とも呼ばれます。
議会に実権が移行しているイギリス型の立憲君主制では、名誉革命によって君主は「君臨すれども統治せず」の立場を取っています。
イギリス国王は政治的実権はほとんどありませんが、形式上、首相の指名権などが国王に認められています。
ドイツのプロイセンや戦前の大日本帝国憲法下の日本では、議会の権限が弱く君主に大幅な権限が与えられています。
実質的な権力が君主に集中している外見的立憲制もあります。いわゆる君主主権の国家原理です。
君主主権とは?
国家の統治権を君主が持つという国家原理。「主権在君」ともいいます。
プロイセン憲法や大日本帝国憲法の統治原理は君主主権です。国民主権ではありません。

共和制とは?
世襲による君主がいない政治体制で、国民多数の意思により政治が行われる。主に大統領が国家元首
歴史的には近代までは大半の国家が君主制でしたから、
近代の共和制の国家は市民革命によって君主制を廃止することで誕生したと言えます。
共和制では君主は存在しません。
その代わりに政治体制として国家の政治活動を、国民多数の意見により決定して行使します。
世襲ではない国家元首である大統領が存在しており、現代では大統領制の国の多くが共和制です。
例えば、フランスでは革命でブルボン王朝が廃止され、第一共和政となり、アメリカは独立戦争後、君主制のイギリスから独立した形で共和制を採用して建国されました。
中国のように社会主義の国でも君主を持たない国は、社会主義共和国と名乗っています。
主権は形式的には人民にあり、統治の最高決定権もプロレタリア独裁の立場から共産党による指導を定めているのです。

まとめ
この記事では立憲君主制と共和制の違いについて解説しました。
立憲君主制は憲法に従った君主が統治する政治体制の事で、共和制は君主を持たずに国民多数の意思によって行使される政治体制の事です。
世襲でない国家元首、大統領が共和制では存在します。
君主制に関して言えば、日本、イギリス、タイ、スペインのように立憲君主制の国もあれば、サウジアラビア、カタールのように絶対君主制の国もあります。
共和制は君主制を廃止することで誕生した国家と考えるとわかりやすいかもしれませんね。