この記事ではレーガノミクスについて解説します。
ケインズ経済学では国家が経済に積極的に介入して工場事業による有効需要の喚起が主張されました。
しかし、ケインズ理論は国家の財政赤字を拡大してしまう危険があるとして、
反ケインズ経済学が誕生しました。代表的な人物にフリードマンがいます。
フリードマンは通貨供給量調整により景気調整策を主張しました。
この新自由主義とも呼ばれる考え方は、1980年代のレーガン大統領によるレーガノミクスに見られます。
ケインズ経済学に関しては、『ケインズの有効需要と完全雇用について。ケインズ政策とは?』の記事をご覧ください。
レーガノミクスとは?
政府規制の緩和による自由競争の促進、通貨供給量による金融の引き締めと緩和、大幅減税、などの経済政策
1970年代のアメリカの経済は
・スタグフレーション
・生産性上昇率の低下
に悩まされていました。
スタグフレーションは景気が低迷しているのに物価が上昇している現象で、失業率が高まっていました。
生産性に関して言えば第二次世界大戦から1973年のオイルショックまでは2.5程度と高い成長率を誇っていたのですが、1970年代から80年頃まで成長率はほぼゼロで横ばい。
これらの問題を解決するために1981~1989年の8年間大統領を務めた
レーガンがレーガノミクス経済政策を行ったのです。
それまでのケインズ経済学では「需要」と「供給」の2つの面から見た時に、
需要側をより重要視する経済政策でした。レーガンを取り巻く政策推進者たちは、
供給サイドに注目して供給の面に光を当てた経済政策を推し進めたのです。
これをサプライサイド経済学と言います。
レーガノミクス中身
・企業が払う税金を大幅に減税して、投資意欲を労働意欲を高める
・金融政策によってインフレを抑える
・経済の仕組みのさまざまな規制を緩和して企業の競争意欲を高める
・軍事費を拡大させて強いアメリカを目指す
これらの政策がレーガノミクスでは取られました。
個人や企業の税金を減らすことで、貯蓄が増え、労働意欲が向上して、設備投資など投資が増え生産性が増えると考えられました。
生産性が増えると税収が増えるという考えです。
通貨を供給する量を減らすことで、世の中に出回る通貨の量が減るため、インフレが抑えられると考えられました。
規制緩和と福祉予算の削減を通して小さな政府を目指して、支出を減らし財政赤字を解消しようとしました。
これらの目論見がレーガノミクスの政策の主要ポイントです。

レーガノミクスの結果
貿易赤字と財政赤字という双子の赤字を増大させたが、景気は回復した
当時のアメリカではM&Aが流行したり、平時における好景気は歴代3番目に長い好景気になりました。
先ほど解説した通り、レーガノミクスの政策は、減税、規制緩和、インフレ抑制でした。
小さな政府を目指したレーガノミクスですが、実際は省庁の廃止などの公約は実現できず、軍事費も拡大しました。
支出は増えるのに税収は当初期待したよりも上がらなかったため財政赤字は拡大しました。
財政赤字の拡大したため、赤字を補填するために大量の国債を発行しました。
国債を発行すると強いアメリカの国債を購入して金利を稼ごうと外国は考えますから、外国資金が大量に流入してドル高にもつながりました。
ドルの価値が高くなるとアメリカにとっては輸出が不利になりますから、
輸出量よりも輸入量が増えてしまい、貿易赤字ともなってしまったのです。
結果としてレーガノミクスは財赤字と貿易赤字の両方を拡大することとなりました。
しかし、アメリカ国内に限ってみれば、大幅な減税と規制緩和により景気自体は回復を見せました。
1980年代後半は株式バブルへと繋がります。

まとめ
この記事ではレーガノミクスについて解説しました。
レーガノミクスとは大幅な減税と規制緩和、通貨の供給管理によりインフレの抑制、軍事費拡大による強いアメリカを目指すなどの経済政策です。
規制緩和と減税より景気は回復しましたが、社会保障費の削減には失敗して、
財政赤字と貿易赤字を拡大させました。