この記事ではプロパガンダについて解説します。
20世紀に入るとラジオやテレビの発達により、一方が多数の人達に同時にコミュニケーションを取れる
マスコミュニケーションが発達します。交通機関や郵便や電信が発達したことで、新聞や雑誌などの普及も19世紀の社会と比べると格段に便利になりました。
そういった社会利便性の向上を後押しとして「プロパガンダ」という言葉が多用されるようになります。
今回はプロパガンダの意味について解説します。
プロパガンダとは?
人々を特定の思想や行動に誘導しようとする意図を持った宣伝行為
プロパガンダとは政治思想や世論、行動などを誘導する意図を持った宣伝行為のことを指します。
日本語だと、情報戦や心理戦、宣伝戦など幅広く和訳されます。
プロパガンダという語自体は1622年にカトリック教会で使われていて、
プロパガンダは「種をまく、繁殖させる」などの由来があります。
本格的に使われたのは第二次世界大戦頃にアメリカがナチスの国際宣伝線を「プロパガンダ」と呼んだことで、否定的な意味として使われるようになりました。
最初にプロパガンダという語が使われたカトリック教会でも対抗勢力は反感を買っており、
「嘘、情報操作、心理操作、歪曲」といった意味でプロパガンダという言葉が使われました。
現代では特定の政治思想を宣伝する行為がプロパガンダと呼ばれます。

プロパガンダの例
ドイツのナチスがプロパガンダを理解しやすい良い例です。
ナチスのプロパガンダのテーマは民族至上主義、反ユダヤ主義、反共産主義、戦争を推奨する軍国国家、ヒトラーを無条件に崇拝する統帥崇拝、土地を持たないドイツは東方に侵攻する、などでした。
第一次世界大戦後の多額の賠償金と世界恐慌により貧困にあえいだドイツの経済的背景も後押しとなりました。
ヒトラーは『我が闘争』という本を出版して自らの政治思想を世間に広めたり、
新聞社も何をどのように記事にするか事前に指定されていました。
映画もナチスによって掌握され、映画館の無い地方までまわってプロパガンダ映画が上映されました。
このように政治的プロパガンダでは書籍、新聞、映画などのマスコミュニケーションを利用して
政治的テーマが宣伝されました。
第二次世界大戦下の日本でも至るところにポスターが張り出されて、
「満州国は天国、中国は地獄」といった思想や、戦争に参加する事を美徳とする思想などが
プロパガンダとして行われたのです。
文化大革命じの毛沢東の反戦キャンペーンなどもプロパガンダの例と言えるでしょう。
毛沢東は書籍を発行してフランスではベストセラーになるほどの人気でした。
アメリカとソ連による冷戦でベトナム戦争が勃発した背景もあり、戦争に反対することで民衆からの支持を得ました。
毛沢東もまたポスターやメディアを使って共産主義思想を宣伝しました。
中国の文化大革命に関しては、『中国の文化大革命とは?毛沢東や政治面に注目してわかりやすく解説。』の記事をご覧ください。
ネガティブなプロパガンダを紹介しましたが、
女性の雇用を促すために工場で働く女性のポスターを張り出して、女性の社会進出を促すようなプロパガンダもありました。
プロパガンダとは非常に幅広い意味で使われる言葉なのです。

まとめ
この記事ではプロパガンダについて解説しました。
プロパガンダとは特定の思想や行動に人々を誘導するための宣伝行為です。
主に政治の場面でプロパガンダという言葉が使われます。
プロパガンダはネガティブな意味で使うことが多く、ナチス政権下のドイツのプロパガンダが良い例です。
ファシズムに関しては以下の記事をご覧ください。