憲法

平和的生存権とは?わかりやすく解説。恒久平和主義が日本国憲法の特色。

この記事では平和的生存権について解説します。

日本国憲法は平和に第一義的な価値を見出す世界観である平和主義が特色となっています。

憲法前文では「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と述べていて、憲法9条で戦争放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を規定しています。

日本人の平和主義は人権としても捉えられている考え方が平和的生存権です。

 

憲法9条に関しては、『憲法9条とは?わかりやすく解説。改正や自衛隊の解釈について。』の記事をご覧ください。

 

平和的生存権とは?

国民が平和のうちに生存することのできる権利を人権としてもとらえようとする考え方。

平和的生存権は1962年に憲法学者の星野安三郎によって導き出されました。

星野安三郎は「平和的生存権論序論」の中で、憲法の前文第2段にて書かれている「平和のうちに生存する権利」を憲法上保障された権利として捉えました。

つまり、国民が平和のうちに生存する権利を他の基本的人権を同じように捉えたのです。

日本国憲法の前文では、

「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から逃れ、平和のうちに生存する権利を有する」

と書かれています。

 

平和的生存権を基本的人権と同じように捉えるとという考え方に関しては、憲法学者の間でも積極的に捉えられています。

しかし、「全世界の国民が」という点に関しては、日本国憲法は日本国民に対する約束と契約の性質があるため、権利として保障されるほどの具体性を欠いているという意見もあります。

 

もし平和的生存権を基本的人権の1つとして認めるならば、

平和というものが概念や政治的宣言ではなくて、国民と政府の間の法的関係が成立しなければならないという意見もあります。

つまり、仮に政府が戦争へと進む時に国民は「政府の戦争行為に抗うこと」が憲法上保障されなければならないという事になるわけです。

 

管理人
平和に暮らすことも人権の1つって考え方なんだね!

 

国際的な平和的生存権の高まり

国際社会の憲法ともいわれている「国連憲章」では第2条4項にて「武力不行使」が原則となっています。

世界は大規模な戦争を繰り返すたびに仕組みづくりをしていますが、実際には戦争は無くなっていません。

また、国連憲章では「自衛権」として武力行使はできると定めており、1991年の湾岸戦争ではイラクがクウェートに侵攻した事から、「救済するために」武力行使は正しいものとされました。

このように武力行使は定義があいまいであるわけです。

2000年代に入るとイラク戦争が勃発して、多くの死者を出しました。イスラム国の台頭により、多くの民間人も命を落としています。

こういった背景からスペインの市民団体は平和を国際法上の権利にしようと考え、

2008年からは平和的生存権が議論されるようになりました。

 

日本では平和的生存権が裁判で争うことのできる権利であるかについて議論がされています。

2008年4月に名古屋高裁は自衛隊イラク派兵違憲訴訟にて、

「平和的生存権は、憲法上の法的な権利として認められるべきである」「裁判所に対してその保護・救済を求め法的強制措置の発動を請求し得るという意味における具体的権利性が肯定される場合がある」

という判断をしました。

 

インターネットが発達した社会では世界的にも戦争に対する平和を訴えるキャンペーンや活動が増えています。

これまでに起きた戦争も「平和的生存権の侵害」と定義する事ができれば防げたのか、という点については今後も議論がされていくトピックです。

 

管理人
すべての国が平和的生存権を保障する憲法を備えるという未来が理想だよね!

 

まとめ

この記事では平和的生存権について解説しました。

平和的生存権とは国民が平和のうちに生存することを基本的人権のように捉える考え方です。

権利として保障するには具体性を欠いているという否定派の意見もあれば、名古屋高裁の判決のように平和的生存権が認められた解釈もあります。

平和に対する運動が高まっている国際社会では平和的生存権の価値が再評価されています。

 

 

 

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