憲法

三菱樹脂事件とは?判決をわかりやすく解説。思想及び良心の自由が争点。

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この記事では三菱樹脂事件について解説します。

日本国憲法では第19条にて、「思想及び良心の自由」が保障されています。

国家が個人の精神活動に介入しないことを憲法で誓っていますが、国家がという点がポイントとなっています。

この精神の自由である思想及び良心の自由がどこまで適用されるか?という点に関しては、

三菱樹脂事件の判決が好例となっています。

 

三菱樹脂事件とは?

入社事件で身上書に学生運動を秘匿したして、本採用を拒否された原告が解雇無効を求めた事件

1963年3月に東北大学を卒業した原告は、三菱樹脂株式会社に就職予定でした。

採用試験の際に原告が「学生運動に参加したことがあるか?」という質問に対して、面接当時は否定したものの、後になって原告が60年安保闘争に参加していたことがわかりました。

原告が学生運動に参加していた事をしった三菱樹脂株式会社は原告の本採用を拒否しました。

拒否した理由は、「本件雇用契約は詐欺によるもの」という事です。

 

本採用を拒否された原告は、

「三菱樹脂株式会社による本採用の拒否は思想及び良心の自由を侵害するもの」

として、雇用契約上の地位を確認する訴えを東京地方裁判所に起こしたのです。

 

この裁判の争点は、日本国憲法が保障する基本的人権は私人間にも適用されるのかという点でした。

憲法が規定する基本的人権の保障は国家が個人に対して保障するものであるため、

三菱樹脂株式会社と原告という私人間の争いにおいて、思想及び良心の自由が保障されるべきかというのが論点だったのです。

いわゆる憲法の私人間効力です。

 

管理人
憲法が私人間に適用されるのか?というのが争点だね!

 

三菱樹脂事件の結果

一審の東京地方裁判所、二審の東京高等裁判所は原告の訴えを認めました。

企業の解雇権の濫用にあたるとしたのです。

特定の政治的な思想を持つものを入社させたとしても、会社の業務を遂行する上では支障がないとしていて、採用の応募者に対して、政治的思想や信条を申告させる事は許されない。としたのです。

つまり、そもそも面接の段階で学生運動に参加していかどうかを企業側が応募者に聞いた事がいけないという事です。

これを企業が業務を遂行する上で関係の無い質問と一審と二審は判断しました。

 

これを受けて、三菱樹脂株式会社は最高裁判所に上告を行いました。

 

最高裁判所は憲法19条は私人間には適用されず、特定の思想、信条ゆえの採用拒否は違法にならないとしました。

憲法22条と29条で規定されている、企業側の「企業の経済活動ないし営業の自由」が勝った形になりました。

そもそも憲法19条の思想及び良心の自由は国や地方公共団体と個人の間で保障されるべき内容であって、企業と個人という私人間では適用されないという最高裁判所に判断だったのです。

今回のケースでは、

個人の基本的な自由や平等を極めて重要な法益として尊重すべきことは当然ではありますが、絶対視するものでもなく、憲法ではなく民法をはじめとする私法規定の解釈をすべきという事になりました。

 

管理人
特定の思想、信条ゆえの採用拒否は違法にならないって判断なんだね!

 

まとめ

この記事では三菱樹脂事件について解説しました。

三菱樹脂事件の争点は、国家が保障する基本的人権は私人間の争いにも適用されるのかという点でした。

原告は学生運動に参加していた事を企業に隠して採用されており、企業が採用拒否を行うことは違法にならないという判決でした。

 

三菱樹脂事件の事の顛末としては、原告は大企業と13年間も争い裁判が終わる頃には30代半ばになっていました。

その後、念願と言って良いのかは疑問ですが、三菱樹脂株式会社に復職して1999年まで23年間勤務します。

その後は三菱樹脂100%子会社のメンテナンス会社「ヒシテック」にて社長を務めるまでに出世しました。

 

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