この記事では軍事政権について解説します。
日本は戦後から議会制民主政治を維持しており、現代に生活する我々も平和な生活を送っているために
軍事政権と聞くとネガティブなイメージを持つかもしれません。
しかし、一方では1964年に軍事クーデターにより政権を獲得したブラジルの国のように軍部が政権を握る事によって
平和が保たれてたという考え方も存在します。
この記事では軍事政権とは何か?そして比較的最近、軍事政権から民政に変わった国を紹介します。
軍事政権とは?
軍部が政治権力を握ること。または軍事力を背景にした政権のこと。
発展途上国では軍部が統制のとれた数少ない組織であるために、政党にかわって政権を握ることが多く見られます。
また戦前の日本のように恐慌により議会政治が立ち行かなくなり軍部が、政権を握るという事もあります。
近代国家の原理では軍事力は他国からの侵略を守る国家の平和を維持するために軍事力は切っても切り離せない関係だと見なされています。
軍事力を一切持たないという行為は他国の侵入を許してしまうからです。
しかし、軍事力はあくまで議会政治を補完するものであって主役ではないというのが一般的な考え方となっています。
そして戦時や恐慌時など軍のエリートが政治的発言力を増して、軍部が政治権力を握ることがあるのです。
戦後の新興国にて見られた経済開発を名目にした開発独裁でも軍事政権による独裁が見られました。
開発独裁に関しては、『開発独裁とは?わかりやすく解説。インドネシアや韓国の例。』の記事をご覧ください。
1950年代に植民地から独立したアフリカにも軍事政権が多いです。
アフリカでは大統領制や一党制などを採用している国が多く、権力が中央に集中しやすい政治制度となっています。
そのためクーデターにより政権交代が多く、クーデターは非合法の暴力を含む政権交代であるため
軍事政権が比較的発生しやすいのです。
アフリカはアジアなどのかつて植民地だった国では部落の対立や宗教的対立、議会政治がかつての植民地の宗主国との癒着による腐敗などの背景もあり、
暴力を行使して政権を交代するという風潮があるのです。暴力にて政権を交代するということは軍事力を背景としており、軍事政権となるわけなのです。

最近まで軍事政権だった国
近くのアジアでは最近まで軍事政権でしたが、民政に変わった国があります。
〇タイ
タイは1932年の立憲君主国となってから何度もクーデターが起きています。
タイでは2013年に反政府デモが激化しました。そして、2014年にタイ王国軍がクーデターを起こして政権を樹立しています。
2019年3月には軍事政権から民政への移行が起きて、選挙が実施されました。
しかし、結果はそれまでの暫定首相だった軍事政権のプラユット首相が当選して首相となりました。
形としては民政に移行しましたが、軍事政権だった首相がそのまま首相に選ばれるという格好になったのです。
〇ミャンマー
ミャンマーは1948年にイギリスから独立をして民主主義国家となりましたが、1962年にはクーデターにより軍が政権を握る軍事政権となりました。
2015年に軍事政権時代から民主化活動を続けていたアウンサンスーチー氏が党首を務めるNLDが選挙にて大勝。
民主化に移行しました。

まとめ
この記事では軍事政権について解説しました。
軍事政権とは軍部が政治権力を握ることです。
発展途上国や第三世界ではクーデターによる政権の交代が起きやすいため、軍事政権が発生しやすいという背景があります。
軍部が統制のとれた数少ない組織であるという理由もあります。
また、反政府デモなど政党に反対する民衆の声を鎮圧して拾い上げる形で軍事政権になることもあるのです。
タイやミャンマーはつい最近になって軍事政権になったり民主化したりしています。
テロリズムに関しては以下の記事をご覧ください。