この記事ではMaaS(マース)について解説します。
100年に一度のモビリティ革命が起きようとしています。
シンガポールやフィンランドはMaaSに向けた規制緩和で、次世代の移動サービスMaaS(マース)に関連する企業が動きやすいようにルールを柔軟に変えています。
日本は各地で実証実験が続いていますが、制度に対する壁は高い状況です。
今回はMaaSとは何か?ついて解説します。
MaaS(マース)とは?
MaaSとは、Mobility as a Serviceの略で、「次世代の移動サービス」と呼ばれています。
MaaSはライドシェア、鉄道、飛行機など複数の乗り物の予約と支払いをアプリで行うことできて、使いたい時に使えるというものです。
現状の仕組みでは飛行機は航空会社の予約サイトでチケットを手配して、新幹線は新幹線の予約サイトで切符を手配します。
MaaSではITを活用して、交通手段の移動を大きな1つのサービスとして捉え、提供交通機関の垣根を超えて繋ぐ新しい手段なのです。
シンガポールのスタートアップ企業モビリティXは2019年春より、
複数の交通手段を1つのアプリで利用できるサービスをはじめました。
鉄道、バス、ライドシェアの運営企業と提携していて、目的地まで検索をかけるとあらゆる交通手段からルートと料金を表示してくれます。
ユーザーはルートを選択すると、事前に登録しているカードで決済が可能で交通機関をまたいでも1つのアプリで完結できます。
シンガポールはMaaSを推進するために、鉄道、タクシーなど乗り物別に分かれていた法律を1つに変えました。
フィンランドでは、バス、電車、レンタカー、タクシー、飛行機などあらゆる交通手段が
ユーザーのニーズに合わせて、パッケージ化されて提供される定額サービスがあります。
公共交通やシェア自動車を利用できるアプリ「Whim」が人気となっています。定額制で近郊の交通が乗り放題となっています。
フィンランドも交通法を1本化して、政府は企業に時刻表や料金のデータの開放を求めました。

日本のMaaSに対する現状
日本の総務省のHPではMaaSを以下のように捉えています。
カーシェアリングサービスは街なかでよく見かけられるようになり、一部の地方公共団体や企業によって実験的にバイクシェア等も行われています。そのような状況において、自動運転やAI、オープンデータ等を掛け合わせ、従来型の交通・移動手段にシェアリングサービスも統合して次世代の交通を生み出す動きが欧州から出てきています。それがMaaS(Mobility-as-a-Service)です。
電車やバス、飛行機など複数の交通手段を乗り継いで移動する際、それらを跨いだ移動ルートは検索可能となりましたが、予約や運賃の支払いは、各事業者に対して個別に行う必要があります。
このような仕組みを、手元のスマートフォン等から検索~予約~支払を一度に行えるように改めて、ユーザーの利便性を大幅に高めたり、また移動の効率化により都市部での交通渋滞や環境問題、地方での交通弱者対策などの問題の解決に役立てようとする考え方の上に立っているサービスがMaaSです。
2019年1月には、「IT総合戦略本部の第1回オープンデータ官民ラウンドテーブル」が開催され、
民間企業が政府や公共機関などが持つ鉄道やバス、船舶、タクシーなどのリアルタイムの運行情報、時刻表情報、駅や停留所の位置情報をオープン化することを要望しました。
現状は各社、移動交通に関する膨大なデータを官民それぞれが独自に保有しており、共有はしていません。
MaaS導入に向けて交通機関を提供する企業が持つ情報をオープン化して「情報の統合」をしようとしている段階です。
民間企業ではMaaSに向けて独自の取り組みが発表されており、JR東日本や小田急電鉄もMaaSに向けた取り組みを行っています。
タクシー会社のジャパンタクシーは小田急電鉄が進めているMaaSプロジェクトに参加していますね。
しかし、小田急電鉄は小田急電鉄とその関連会社でのみ情報を共有を行っており、
オープンデータを通じて他社と状況を共有するまでにはまだまだ時間がかかりそうです。
日本においてはMaaSの提供は始まっていませんが、官民が手を組んで模索している状況です。

MaaSが注目されている理由
MaaSが日本でも注目されているのにはいくつか理由があります。
①市場規模
2018年に矢野経済研究所が発表したデータによると、2018年に845億円市場のMaaSは2030年には約75倍の6兆3634億円に達すると予測されています。
これほど市場が成長すると予想されているため、トヨタ自動車が西日本鉄道と組んで実証実験を行ったり、ソフトバンクが出資するモネパートナーズは千葉市と協定を結び、MaaSの早期の実用化に向けて実証実験をしています。
モネパートナーズはすでに200以上の自治体からアプローチがあるそうです。
世界に目を向けてみると三菱総合研究所が発表した「MaaSが普及した場合の世界の自動車関連市場予測」によると、
全世界の自動車関連市場は2018年の段階でで650兆円ですが、2050年には約2.3倍の1500兆円に拡大しすると予測されています。
そして、1,500兆円の6うち割の900兆円がMaaS関連で占められると予測されているのです。
②交通手段が少ない地域での利便性
日本では自動運転車の普及やライドシェア(相乗り)が各種規制により、解禁されていませんが、他国ではすでに導入されています。
もし上記の各種規制が緩和され自動運転やライドシェアが実現化すれば、交通手段が少ない地方の地域でも利便性が高まります。
例えば、自宅から市街の病院に行く時に、タクシーを自宅まで手配して、電車に乗って病院に行き、帰りはライドシェアで帰ってくるといったような事が可能になるのです。
それがアプリ1つで利用と決済ができれば、高齢者の方にも便利です。
日本では現在、高齢ドライバーによる事故が社会問題となっているため、解決の糸口となるかもしれません。
③渋滞緩和と環境問題への対応
MaaSの導入は交通機関の民間企業と政府が手を組んで情報をオープン化して共有する必要があります。
そのため都市部では渋滞情報やタクシーの量などのデータもリアルタイムで共有されるため、
より効率の良い交通の実現が見込まれています。つまり、渋滞の緩和です。渋滞が緩和すれば交通の集中量が減るため、交通事故の軽減にもつながります。
さらに自家用車の利用から、MaaSの利用に切り替わる事で二酸化炭素の破棄ガスも抑制される事が期待されています。

まとめ
この記事ではMaaSについて解説しました。
MaaS(マース)とは「次世代の移動サービス」の事で、すべての交通サービスを一括でしかも1つのアプリで利用できるようになると期待されているサービスです。
自家用車を所有しなくても、手軽にお得にヒトの移動ができるようになるかもしれません。
これからのMaaSの発展に期待です。
車の技術革新に関して言えば、ガソリン車から電気自動車への移行が予想されています。
そのため走行税の導入が検討されていますよね。走行税に関しては以下の記事をご覧ください。