この記事では古典派経済学について解説します。
産業革命時のイギリスでは産業資本家が工場を所有して労働者を雇い急速に工業化が発展しました。
資本主義経済は産業革命によって確立しましたが、同じ頃に確立したものに古典派経済学があります。
産業革命などの出来事が経済の実体であれば、古典派経済学は経済を上から見下ろし理論として考えるものです。
今回は古典派経済学について解説します。
古典派経済学とは?
アダムスミス、リカード、マルサス、J.S.ミルらを主な担い手とする経済学
古典派経済学は18世紀後半より約100年続く経済学の理論となります。
1776年アダムスミスの著書『国富論』にて古典派経済学は確立されたと考えられています。
彼らは、近代社会は資本家、地主、労働者の3つの階級からなり、自律的なメカニズムを持っているとしました。
3つの階級はそれぞれ自分の利己のために効率よく行動するため、国家は経済に介入しないことが望ましいとされていたのです。
「古典派」というのは、資本主義経済が発展するについて、
資本主義経済自体を本格的に分析した最初の学説という意味で、古典派経済学と呼ばれるのです。
古典派経済学では、冨の源泉は労働にあるという労働価値説が理論の中心となっており、
労働生産性を高めるためには市場における自由な競争が必要だと考えています。
レッセフェールに関しては『レッセフェール(自由放任主義)とは?アダムスミスが提唱。』の記事をご覧ください。

古典派経済学の主張と流れ
古典派経済学はアダムスミスの『国富論』にて確立しました。
アダムスミスは市場経済は神の見えざる手によって導かれるものだとして、多数の消費者の需要と多数の生産者の供給で自然とバランスが取れると主張しました。
つまり、価格の自動調整機能です。
国家はなるべく経済活動には介入せず、土木作業などのごく一部に限定すべきと説きました。
アダムスミスの後、リカードは自由貿易の利点を具体的に明らかにしました。
国際的に貿易にも国家が介入すべきではないとリカードは主張したのです。
マルサスは主著『人口論』で人口の自然増加は幾何級数的だが、食糧増加は算術級数的だと主張しました。
つまり、人口は急激に増加するのに対して、食糧の増え方はなだらなかにしか増えないという意味です。
J.S.ミルは主著『経済学原理』の中で、自由放任主義の経済の限界について説いていました。
当時のイギリスは産業革命や植民地の獲得で豊かになっていましたが、貧富の差の問題や植民地の増加により社会変化に対して、処方箋ともいうべき対応策の理論を展開したのです。
ミルは政府の再分配機能について説明しました。

まとめ
この記事では古典派経済学について解説しました。
古典派経済学は資本主義経済を本格的に分析した最初の学説です。
古典派経済学の中心思想は自由主義経済にあり、労働者、資本家、地主と3つの階級による自律メカニズムとなっています。
自由貿易、人口論、自由放任経済の限界などが主張されました。