憲法

国民投票法とは?わかりやすく解説。2018年には国民投票法改正案が提出。

この記事では国民投票法について解説します。

憲法96条では憲法改正のためには、衆参各議院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議して、その後国民投票の過半数の賛成で憲法が改正と規定されていますが、具体的な国民投票の方法に関しては憲法に規定されていませんでした。

そこで法律によって国民投票の規定を具体的に定める必要があると長年、考えられていたのです。

特に公民権停止者と含むといった事や、有権者の範囲、年齢、全投票数なのか有効投票数なのかといった問題があったからです。

そこで、2007年5月に制定されたのが国民投票法なのです。

 

憲法改正の手続きや手順に関しては『憲法改正の手続きや手順についてわかりやすく解説。』の記事をご覧ください。

 

国民投票法とは?

初めて憲法改正についての具体的な手続きが明示された法律、正式名称は「日本国憲法の改正手続に関する法律」

国民投票法は2007年5月に制定されました。

施行は2010年5月からです。

投票権年齢は満18歳以上に引き下げる法整備がなされるまでは、満20歳以上とされていましたが、2014年6月の改正により、改正法施行後4年経てば(2018年)、満18歳以上で国民投票に参加できるようになりました。

国民投票の対象は憲法改正のみに限定されており、在外邦人にも投票権があり、公民権を停止されたものであっても投票権があります。

国民投票法の制定により、衆参両議院に「憲法審査会」が設置されました。

憲法審査会とは?

それまでの憲法調査会にかわり、新たに衆参両院に設置された機関。初めて「憲法改正原案、憲法改正の発議」を審議できると規定されました。休眠状態が続いていましたが、2011年11月に衆参両院で開催され始動しました。

憲法改正原案は衆議院100人以上、参議院50人以上の議員の賛成で国会に提出できるようになったのです。

 

管理人
2000年代に入るまで具体的な手続きは決まっていなかったんだね!

 

投票について

国会にて憲法改正の発議がされた後は、60~180日ほどの期間を経たあとに投票を行います。

この60日~180日の期間は憲法改正案を国民に知ってもらうための期間です。

国民投票広報協議会が設置され、憲法改正案の賛成・反対の意見や参考となる情報を掲載した国民投票公報の原稿作成や投票場に掲示する憲法改正案要旨の作成を行います。

テレビやラジオでも憲法改正案を周知するために広報が行われます。

テレビやラジオは投票日の14日前まで放送されます。

政党や団体も「国民投票運動」を行い、国民に、賛成や反対の投票をするように運動をします。

 

国民投票は投票用紙にあらかじめ書かれた「賛成」または「反対」の文字のどちらかに〇をつける方法で投票を実施します。

もしくは賛成しない方に二重線を引いても有効投票となります。賛成に二重線を引いた場合は反対という事になります。

 

国民投票は有効投票の過半数の賛成で憲法改正案は成立します。

最低投票率は設けられていません。

最低投票率とは?

選挙において、その投票を有効するため、有権者数に対する投票者数の割合のこと。日本では最高裁判所裁判官の国民審査や地方公共団体住民投票で設定していますが、憲法改正の国民投票ではこの規定がありません。

つまり、有権者が7,000万人いるとして、仮に7分1の1,000万人だけが投票したとすると、500万人以上の賛成で憲法改正案は成立するという事です。

有権者7,000万人に対して、500万人の意見で憲法が改正されることになるので、最低投票率を設けていない点は問題視されています。

昨今の選挙の投票率を鑑みると、最低投票率を設けてしまうと憲法改正に進まないという背景もあります。

 

国民投票により憲法改正が公布されたのちは、3年後から憲法改正内容が施行されます。

 

管理人
これだけ具体的に憲法改正の流れが規定されているんだね!

 

国民投票法の改正案7項目とは?

2018年の通常国会にて「日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案」(国民投票法改正案)が提出されました。

改正案は7項目からなっています。

1、投票人名簿等の縦覧制度の廃止及び閲覧制度の創設
2、国民投票の有権者名簿のうち、在外投票人名簿の登録についての改正
3、共通投票所の設置
4、期日前投票
5、洋上投票の拡大
6、繰延投票の期日の告示
7、投票所に入場することができる子どもの範囲を拡大

 

1、投票人名簿等の縦覧制度の廃止及び閲覧制度の創設

現行の制度では国民投票をするためには名簿を作成して、名簿を人の目に触れさせる必要があります。

しかし、昨今では個人情報保護の観点から氏名、住所、生年月日が人の目に触れてしまうのは問題があるという事から改正が求められています。

従来の「縦覧」制度を廃止して、新たな「閲覧」制度を創設することが盛り込まれています。

 

2、国民投票の有権者名簿のうち、在外投票人名簿の登録についての改正

現行の制度では外国に出国して外国にて投票を行う場合は、在外選挙人名簿という別の名簿があり、そこに登録される必要があります。

在外選挙人名簿に登録されれば、自動的に在外投票人名簿にも登録されるのですが、国民投票日の50日前直前に登録した場合に、在外投票人名簿に自動的に登録されないという問題があります。(別途申請が必要)

そこで、改正案では自動的に在外投票人名簿にも登録されるようになります。

 

3、共通投票所の設置

現行では指定された場所でしか投票ができない事になっており、投票所が遠いなどの問題がありました。

そこで改正案では共通投票所を設置して、町村内のいずれの投票区に属する投票人も投票することをできるようにして、駅やショッピングセンターなどの利便性の高い場所でも投票が行えるようになります。

 

4、期日前投票

現行制度では期日前投票をすることができる理由に悪天候や災害などの理由が含まれていません。

そこで改正案では「天災又は悪天候により投票所に到達することが困難であること」を追加します。

 

5、洋上投票の拡大

現行の制度では一定の船舶で外洋を航行中の船員についてはFAXを使って投票を行うことができます。

しかし、便宜置籍船に乗っている船員や実習中の学生が投票できない恐れがあるため、改正案ではそういった人達も投票の対象とします。

6、繰延投票の期日の告示

天災等で投票を行うことができない場合、現行制度では少なくとも5日前に告知を行わなければなりませんが、早期に投票の結果を確定させるべきという要請に反しています。

そこで改正案では、少なくともその期日の2日前に告示するようになっています。

7、投票所に入場することができる子どもの範囲を拡大

現行案では一緒に投票所に入れるのが幼児に限定されていますが、改正案では児童、生徒その他の18歳未満の者」に拡大します。

 

※2019年10月現在、改正案はまだ成立していません。

 

まとめ

この記事では国民投票法について解説しました。

国民投票法は憲法改正の国民投票について具体的な手続きや流れを定めた法律です。

2007年に制定され2010年に施行しましたが、2000年代に入るまで憲法改正の具体的な手続きの法律は制定されていませんでした。

2018年には国民投票法改正案7項目が提出されましたが、2019年10月現在まだ成立はしていません。

 

憲法改正が期待されている、憲法9条に関しては『憲法9条とは?わかりやすく解説。改正や自衛隊の解釈について。』の記事をご覧ください。

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