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憲法の個人の尊重(個人の尊厳)とは?わかりやすく解説。

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この記事では個人の尊重(個人の尊厳)について解説します。

戦前の日本は全体主義の下、個人の利益よりも全体の利益を優先する政策が取られていました。

国家総動員法を代表するように戦時には国民の財産を政府は自由に利用することができたのです。

これは大日本帝国憲法にて国民に基本的人権が無く、天皇からの恩恵としてでしか人権が無かったことが1つの理由となっています。

そのため、人権を侵害するような法律が制定されれば国民は従わなければなりませんでした。

しかし、日本国憲法が制定されて、ヨーロッパの自然権に近い「個人の尊重」が明文化されるようになりました。

 

ヨーロッパの自然権については『フランス人権宣言とは?わかりやすく解説。自然権(天賦人権説)を確立した文書。』の記事をご覧ください。

 

個人の尊重(個人の尊厳)とは?

個人が社会生活、国家生活において最大限に尊重されること。

個人の尊重は人それぞれ全員が違った意見や考え、行動を持っており、互いに尊重しあうことが重要であるという事です。

仮に自分と違った意見を持っている人でも意見は否定してもその人自身を否定する事は個人の尊重の観点からは良しとされません。

 

憲法13条には以下のように定められています。

〔個人の尊重と公共の福祉〕

第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

人間社会の価値の基礎は個人にあり、何よりも個人を尊重しようとする個人主義の原理を言います。

 

個人として人を尊重するという意味合いですが、誰が個人を尊重するのでしょうか?

憲法は国家に対して向けられたものであるため、国民だけではなく、国家も国民を等しく個人として尊重する事を定めたのが憲法13条なのです。

 

日本国憲法には個人の尊重の理念が根底にあるとされています。

日本国憲法の三大原理である「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」も個人の尊重が根底にあります。

20世紀に入り、プライバシーの権利や環境権、自己決定権などの新しい人権が出てきましたが、これらすべても憲法13条にて保障されていると言えます。

 

最近は弱者や在日外国人や性的少数者を言葉で攻撃するヘイトスピーチが問題になっています。

ヘイトスピーチは憲法13条の個人の尊重に反するものであるからです。

 

憲法13条では「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り」と規定がありますが、

この権利を「幸福追求権」と言います。

幸福の定義は人によって違いますから国家は個人に公共の福祉に反しない限り、幸福を追求する権利を認めています。

公共の福祉に関しては『公共の福祉とは?具体例をわかりやすく解説。憲法にて規定。』の記事をご覧ください。

 

憲法24条2項には「個人の尊重」と同じ意味である「個人の尊厳」という表現があります。

〔家族関係における個人の尊厳と両性の平等〕

第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

 

管理人
ヨーロッパの自然権的な考え方って事だね!

 

国際法における「個人の尊重」

1945年に調印・発効された国際連合憲章では、

「基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念をあらためて確認」

として、個人の尊重を基本原理としています。

国際連合憲章とは国際連合の設立根拠となるための規約の事です。

1948年に国際総会で採択された世界人権宣言でも個人の尊重を基本原理としました。

この流れを受けて、1966年に採択されて1976年に発行された国際人権規約にて

経済的、社会的及び文化的権利」を定めたA規約、「市民的及び政治的権利」を定めたB規約のいずれも前文で、「これらの権利が人間の固有の尊厳に由来することを認める」としている。

 

管理人
世界的にも個人の尊重が根底になっているんだね!

人権に関しては『人権とは何か?基本的人権についてわかりやすく解説。戦後の世界的人権保障』の記事をご覧ください。

まとめ

この記事では個人の尊重(個人の尊厳)について解説しました。

個人の尊重とはヨーロッパの自然権的考えで、個人を最大限に尊重する事を言います。

国家は国民1人1人を個人として尊重しなければならず、国民には幸福追求権があります。

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