憲法

自由権とは?精神の自由、身体の自由、精神の自由の3つをわかりやすく。

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この記事では自由権について解説します。

自由権は18~19世紀のヨーロッパの市民革命を経て獲得されてきました。

国家が不当に国民の財産や身体の自由を奪うことができた時代から、人々は『国家からの自由』を求めて市民革命を起こしたのです。

日本国憲法では、自由権を人間の基本権として保障しており、国家の不当な干渉によって国民の自由や権利が侵害されてはならないとしています。

また自由が国家から侵害された場合、その保障を求める損害賠償請求権(第17条)や刑事補償請求権(第40条)などの人権を確保するための権利もあります。

今回は日本国憲法の自由権について詳しく解説します。

 

自由権的基本権(自由権)とは?

国家権力の違法、不当な介入や干渉を排除して、各人の自由を保障する権利

自由権は基本的人権の1つです。

基本的人権には、他にも「社会権」「平等権」「参政権」「請求権」などがあり、自由権はそのうちの1つです。

自由とは国家から何ら制約制限を受けることなく、各人が自己の在り方を自己の責任にて決定することができる、人間に備わっている権利です。

自由権は3つに大別できます。

・精神の自由
・身体の自由
・経済の自由

管理人
国家や他者に束縛・干渉される事が無いのが自由権って事だね!

精神の自由

精神の自由は国家が個人の精神活動のへ介入することを禁止する事です。

どのような考えを持っていても考えを持っているだけであり、他人に害を与えなれば(公共の福祉に反しない限り)考えに対して国家が罰する事はできません。

例えば、ある人が自給自足的な生活をするという信条があり、近代的な生活を悪とする考えを持っている場合で、内面的活動から実際に山を購入して自給自足生活をしたとしても罰せられる事はありません。

どのような考えを持っても構わないというのが精神の自由です。

 

精神の自由は4つに分けられます。

・思想・良心の自由(憲法第19条)
・信教の自由(憲法第20条)
・表現の自由(憲法第21条)
・学問の自由(憲法第23条)

 

・思想・良心の自由(憲法第19条)

どのような政治思想を持っていたり、人生観を持っていても法律では罰せられません。

何を正義と考えても良いですし、何を悪だと考えても問題ないのです。

思想の面で色濃く表れるのが政党です。政党は特定の政治思想を持った人達が集まった団体のため、別の政治団体とは思想が異なります。

別の政治団体の思想を批判しても罰せられることはありません。

親が子の思想を批判したり、SNSなどで特定の思想を支持したり、批判しても罰せられることはありません。

 

思想・良心の自由に関しては、「三菱樹脂事件」が例としてあります。

三菱樹脂事件は企業が思想・信条を理由に採用を拒否できるかどうかが争点の事件でした。

学生運動をしていた学生が採用内定を取り消されました。当然、内定取り消しを行ったのは国家ではなく企業なので、私人間の争いという事になります。

裁判のポイントは果たして、私人間の争いに憲法規定としての思想・良心の自由が主張できるかという点でした。

思想・良心の自由は国家により介入という性質だからです。

最高裁は思想・良心の自由は直接的に私人間には適用できないとして、企業側の雇用の自由を認めました。

のちの昭和女子大事件、日産自動車自動車事件にも影響を与えました。

 

管理人
精神の自由は国家の不介入だもんね!

 

・信教の自由(憲法第20条)

信教の自由とは宗教に関する人権です。

個人は特定の宗教を信じる自由があり、宗教を信じない自由があります。

大日本帝国憲法下では、神道が国教と位置付けられ、天皇中心のイデオロギーとして国家により利用されました。

憲法第20条の信教の自由では、国が特定の宗教団体に特権を与えてはならないとしており、「政教分離」の理由となっています。

 

信教の自由に関しては「津地鎮祭訴訟」「愛媛玉串料訴訟」などがあります。

津地鎮祭訴訟は三重県津市が地鎮祭にて神主に公金を支出しました。

この公金からの支出が政教分離に反するか否かという訴訟を津市の議員が起こしたのです。地方自治法に基づき損害補填を求めました。

議員の訴えに関して、最高裁は「慣習的」なものとして合憲としました。

この判決でのポイントは合憲か違憲かは慣習的行為か宗教的行為によって判断されます。

愛媛玉串料訴訟は、愛媛県が靖国神社と護国神社へ公的支出を行い、最高裁は違憲と判断しました。

これは宗教的行為と認められたのです。

 

管理人
国の代表である首相が特定の宗教施設に赴く行為も問題になってるね!個人としてという事になっているよ。

 

・表現の自由(憲法第21条)

表現の自由はすべての見解を国家により検閲されたり、規制されることなく表現できる自由です。

外部に向かって自分の意見や主張などを表現する自由であり、個人だけではなく団体にも適用されます。

つまり、集会、結社、出版、言論、報道、放送、映画、なども表現の自由に含まれます。

表現の自由は社会変革の可能性を保障する人権として民主主義社会では最も重要視されています。

 

表現の自由に関しては「黒い雪事件」などがあります。

黒い雪事件とは映倫管理委員会にて審査を通って放送された映画のわいせつか否かを問われた裁判です。

審査を取った映画がわいせつであると起訴されたはじめての事件で社会的関心を集めました。

結果としては無罪なりました。

一方、チャタレー事件では小説の内容のわいせつ性が問われて、最高裁では有罪判決を受けました。公共の福祉の制限を受けた例となっています。

 

管理人
表現の自由はヘイトスピーチとも深い関係にあるね!

 

・学問の自由(憲法第23条)

学問の自由とは学問の活動に関して外部からの干渉を受けない自由です。

個人の研究に対して、国家が干渉しないという条文を憲法に盛り込んでいる国はそんなに多くありません。

それは大日本帝国憲法下の戦前、天皇機関説や滝川事件など政府が個人の学問を激しく弾圧した経験から、戦後は憲法に規定されるようになりました。

 

学問の自由に関しては、東大ポポロ事件が有名です。

1952年に東京大学の学生団体「ポポロ劇団」が冤罪事件だった松川事件を題材にした演劇の公演中に、公安警察が潜入しているのを学生が発見してつるし上げた事件です。

学生たちは警察手帳を取り上げて「大学の自治」を主張して正当防衛だといいました。

しかし最高裁は「大学の自治とは調査・研究・教授活動の自由であり、学生運動は対象にならい」という判決を下して学生側は敗訴しました。

管理人
戦前は学問さえも取り締まりの対象になっていたんだね!

身体の自由

身体の自由は、法律上の手続きによらず、かつ正当な理由なくして逮捕、拘禁、処罰などを受けることの権利です。

身体の自由は憲法31条にて

「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」

という言い方をされています。

憲法18条では、

何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

とされており、身体の自由の前提となっています。

 

現行犯以外の逮捕では、令状主義により逮捕令状が必要となります。

取り調べでは黙秘権が認められており、自白強要は禁止されています。

起訴・刑事裁判では被告人の権利として国選弁護人制度が認められています。

このように取り調べから判決に至るまで、さまざまな権利が保障されています。これは身体の自由を根拠にしています。

身体の自由は1215年のマグナカルタが起源とされています。

 

管理人
つい150年前までアメリカでは奴隷制度があったからね!

経済の自由

経済の自由は私有財産制、居住・移転・職業選択の自由の事を言います。

できるだけ国家は個人の経済活動の介入しないようにしようとする権利です。

居住・移転・職業選択の自由に関しては憲法22条に規定されていて、財産権の不可侵は憲法29条に規定されています。

 

経済の自由への公共の福祉の適用は、社会権を実現するために必要不可欠となっています。

そのため、他の自由権に比べて公共の福祉により制限を強く受けます。

例えば、空港の建設や道路の立ち退き要求のように「公共の福祉に供するため」であれば、経済活動は一部制約を受ける場合があるのです。

 

経済の自由に関しては、「薬事法距離制限規定違憲判決」が有名です。

薬局の開設に関しては一定の距離を置かなければ開設できないというものでしたが、この規定は職業選択の自由、営業権を侵害するものとして、最高裁で違憲となりました。

一方の「小売市場距離制限事件」では、小売市場の競争が激化しないように一定の距離を置いて営業をするように規制をしていました。

しかし、規制を守らない人達が出てきて「職業選択の自由」に反するとして、裁判になった事件でした。

裁判の結果は合憲。被告は敗訴となったのです。

この判決では、立法府が競争が激化しないように規制を設ける事は合理的と判断したのです。

 

管理人
戦前の日本は財産はすべて国家のものになるような法律さえあったんだ!

まとめ

この記事では自由権について解説しました。

自由権は大別すると、精神の自由、身体の自由、経済の自由に分けられます。

自由権は18世紀的権利と呼ばれヨーロッパの市民革命を経て実現されました。

日本では戦前の憲法の反省を生かして、日本国憲法で幅広く自由権が保障されています。

 

 

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