この記事ではフランス人権宣言について解説します。
「自由」とは市民革命以降、欧米における共通の価値観となっていきますが、市民たちは自由を永続的なものにするために、
憲法を制定して、自由の権利を確実なものにしていこうとしました。
その代表的なものがフランス革命の中で出されたフランス人権宣言と言えます。
今回の記事はフランス人権宣言について解説します。
フランス人権宣言とは?
自然権に加えて、権力分立や国民主権など近代市民社会の原理を明らかにした宣言
自然権
国家が誕生する以前から生まれながらに人間が持っている権利。
フランス人権宣言はフランス革命の勝利によって制定されました。
正式名称は「人及び市民の権利宣言」と言い、起草人はラ・ファイエットです。
フランス人権宣言が注目される理由は、国民主権や権力分立などを宣言しており、これ以降に発表されたさまざまな人権宣言の先駆けとなっているからです。
基本的人権に関して詳しく知りたい方は『人権とは何か?基本的人権についてわかりやすく解説。戦後の世界的人権保障』の記事をご覧ください。
フランス人権宣言はイギリスのピューリタン革命(1642年)や名誉革命(1688年)やアメリカの独立戦争(1755年)の影響を受けて1789年に制定されました。
それまでフランスの社会は絶対王政による国王を中心とした社会になっており、
第一身分の聖職者と第二身分の貴族は税金を免除されるという国民にとって不公平な社会でした。
国民は国王を批判した人達が収容されている「バスティーユ牢獄」を襲撃して、その後農民蜂起を起こします。
そういった国民の反乱を受けて、フランスの議会はフランス人権宣言を制定したのでした。

フランス人権宣言の主な内容
フランス人権宣言の中でも特に重要な5つについて紹介します。
〇第1条
人は、自由かつ権利において平等なものとして出生、かつ生存する。社会的差別は、共同の利益の上にのみ設けることができる。

〇第3条
あらゆる主権の原理は、本質的に国民に存する。いずれの団体、いずれの個人も、国民から明示的に発するものでない権利を行い得ない。

〇第4条
自由は、他人を害しないすべてをなし得ることに存する。その結果各人の自然権の行使は、社会の他の構成員にこれら同等の権利の享有を確保すること以外の限界を持たない。これらの限界は、法によってのみ、規定することができる。

〇第16条
権利の保障が確保されず、権力の分立が規定されていないすべての社会は憲法をもつものではない。

〇第17条
所有権っは、一つの神聖で不可侵の権利であるから、何人も適法に確認されあ公の必要性が明白にそれを要求する場合で、かつ事前の正当な補償の条件のもとでなければ、これを奪われることがない。

まとめ
この記事ではフランス人権宣言について解説しました。
フランス人権宣言の主な内容は国民主権、絵権力分立、人権保障です。
フランス人権宣言は自由権を求める国民達の努力の集大成とも言えるでしょう。