憲法

平等権とは?事例も交えてわかりやすく解説。

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この記事では平等権について解説します。

日本国憲法では国家からの自由を保障した自由権が明記されています。国家は不当に個人の精神や身体の自由を奪うことはできませんし、個人が所有している財産を利用することはできません。

ただ、個人に自由権が備わっているとしても、個人それぞれが平等でなければ民主主義を遂行することはできません。

そこで基本的人権には「平等権」が含まれているのです。

 

自由権に関しては『自由権とは?精神の自由、身体の自由、精神の自由の3つをわかりやすく。』の記事をご覧ください。

 

平等権とは?

個人の尊厳から当然に導かれるもので、すべての人間が等しく扱われることを要求する権利

個人は男女や生まれや出身地などによって差別されることなく、平等に扱われることが憲法で明記されています。

平等権には、

・法の下の平等(憲法第14条)
・両性の本質的平等(憲法第24条)
・教育の機会均等(憲法第26条)
・選挙への平等(憲法44条)

があります。

まず政治参加における平等や、生活の実質的平等を志向するものとして社会権への橋渡し的役割となっています。

 

管理人
どんな人でも平等に扱われる!という権利なんだね。

 

法の下の平等

国民一人一人が国家との法的義務や権利を平等に扱われるという概念

日本国憲法では第14条にて法の下の平等が規定されています。

〔平等原則、貴族制度の否認及び栄典の限界〕

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

戦前の日本では侯爵や男爵などの華族の身分がありましたが、日本国憲法では身分制度が禁止されています。

また天皇が国家に功労があった人に対して、褒賞に関しても、「この人は良い生まれだから」などの特権を与えることはありません。

あくまで個人全員が法の下に平等とされているのです。

 

法の下の平等に関しては、1973年の「専属殺人重罰規定違憲判決」が判例として有名です。

当時、女性が父親からの性的暴力を李竜に父親を絞殺した事件です。

父母や祖父母を殺してしまうことを専属殺人と言います。普通殺人は懲役3年以上、無期懲役または死刑ですが、専属殺人の場合は無期懲役または死刑なのです。さらに専属殺の場合は執行猶予もつきません。

つまり、情状酌量の余地がなく、殺す対象によって刑罰に差別があるのは法の下の平等に反するのではないか?

というのが、裁判の争点でした。

判決は、

「専属への敬愛そのものは古今東西の倫理である違憲とはいないが、専属殺の刑罰が普通殺との差が大きすぎることは違憲」という事になりました。

つまり、重すぎる刑罰に合理性が無いとして重罰規定を違憲としたのです。

1995年に、専属殺人罪は刑法改正で削除されました。

 

管理人
どんな人でも平等に裁かれるって事と、被害の相手方の平等も認めた判決だったんだね!

 

両性の本質的平等

両性の本質的平等は男女の平等です。

男女にて進学や教育、就職の機会が異なってしまっては平等は言えません。

〔家族関係における個人の尊厳と両性の平等〕

第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

戦前の日本では1898年に制定された民法により家制度がありました。

家制度とは家長である父に家の統率権限があり、絶対的な存在でした。日本国憲法では家族関係における個人の尊厳を認めていて、男女の平等を規定しています。

 

両性の本質的平等とは、男女の差異は認めるけども、その差異に上下はないという考えです。

 

両性の本誌的平等に関しては「夫婦別姓」の問題が焦点になります。

民法では第750条にて夫婦別姓は認められていません。婚姻後はどちらかの苗字に同氏しなければなりません。

この規定は憲法違反や女性差別撤廃条約に違反するという意見があり、2011月に国家賠償訴訟が提起されました。

しかし、2015年の最高裁の判決で退けられました。

「我が国に定着した家族の呼称として意義があり、呼称を1つに定めることには合理性が認められる」と最高裁は判決を出したのです。

これは夫もしくは妻どちらの苗字にもなれる事から、両性の本質的平等には違反しないという判断でした。

 

管理人
憲法24条は「家庭生活」における個人の尊厳と平等を規定しているんだね!

 

教育の機会均等

すべての国民はひとしく、その能力に応じる教育を受けることができて、人種、宗教、性別、社会的身分、経済的地位によって差別されないというのが、教育の機会均等です。

〔教育を受ける権利と受けさせる義務〕

第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

その能力に応じてというのは個人差に応じて教育っを受ける権利があるという事です。

 

戦前は教育を受ける事は義務であり権利ではありませんでした。

教育勅語に市場の価値を置いており、軍国主義的な性格を有していたのです。

その過去の反省を生かして、戦後の憲法では第26条の1にて教育の機会平等を定めて、2では子供に教育を受けさせる義務を定めました。

2にて教育を受けさせる義務に関しては民法に定められていて、子供が教育を受ける権利に国家が介入しています。

これは宗教的理由で教育を受けさせないことを防いだり、経済的な理由で教育を受けさせない選択を親がしないようにしているのです。

 

管理人
最近は経済的格差での教育の機会均等が問題視されているね!

 

選挙への平等

誰しも選挙への参加、つまり政治への参加には人種、信条、性別、社会的身分などの差別を受けません。

戦前は男性のみに選挙件が与えられていましたが、戦後の民主化政策により女性にも選挙権が与えられました。

〔議員及び選挙人の資格〕

第四十四条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。

議員及びその選挙人の資格に関しては、公職選挙法にて定められています。

 

政治への平等に関しては、「議員定数不均等訴訟」いわゆる1票の格差問題が有名です。

選挙の争点は選挙区間の1票の価値の格差は選挙への平等に反するのではないか?

例えば東京1区の場合は有権者は50万人いますが、宮城5区であれば23万人しかいないため、宮城の方が1票あたりの価値が高くなってしまいます。

つまり、有権者の少ない選挙区では1票の価値が重たく扱われてしまうのです。

これを議員定数の不均衡問題と言います。

2009年の参議院選挙では違憲状態であると判決が出されましたが、選挙は有効となったのです。

 

管理人
1票の格差問題は法の下の平等にも反しているんだね!

 

まとめ

この記事では平等権について解説しました。

平等権とは国民1人1人が平等に扱われるという権利です。法の下の平等や男女の平等、教育の平等、選挙の平等などがあります。

民主主義において男女や生まれの関係なく個人が平等に扱われる社会を憲法にて規定しているのです。

 

 

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