この記事ではイギリスの政党政治の歴史について解説します。
イギリスは二大政党制です。
選挙制度が小選挙区制しかないため、1つの選挙区で1人ずつしか当選しないため、2つの大きな政党の構図になりやすいのです。
日本でも1990年代まで小選挙区制しかなかったため、二大政党制でした。
今回は、イギリスの政党の歴史を解説します。
トーリ党とホイッグ党
イギリスの政党政治の歴史は17世紀後半にさかのぼります。
イギリスではピューリタン革命後の王政復古の頃に、王権を擁護するトーリ党と国王に批判的ホイッグ党が生まれました。
これ以来二大政党制が確立しています。
イギリスの議会政治では、二大政党が交互に政権を担当して議会政治の理想ともされてきました。
〇トーリ党
トーリ党はピューリタン革命後の王政復古の際に王権を擁護しました。
トーリとは元々「アイルランドの無法者」という意味でしたが、自らのトーリと名乗り活動し始めたのです。
ジェームズが即位することを認めて伝統的な王権を護持しようとしたため、政党の性格としては「保守」という事になります。
保守とは?
旧来の風習・伝統を重んじ、それを保存しようとすること
→保守党
1830年代にトーリ党からは発展した政党。貴族的・地主的要素を伝統的体質としていますが、
最近では時代の要求を受け入れる柔軟性を備えています。
第二次世界大戦中のチャーチルや保守党初の女性党首で首相になったサッチャーが所属していたことが有名です。
〇ホイッグ党
ホイッグ党はピューリタン革命後のジェームズの即位を認めませんでした。
王権を制限して議会の権利を主張する人々が結集して成立した党がホイッグ党です。
自由党として、保守党と交互に政権を担当しましたが、労働党の台頭で衰退しました。
→自由民主党
かつでのホイッグ党が1988年に社会民主党と合併して社会自由民主党を名乗りましたが、翌年の1989年に自由民主党に改称して現在に至っています。
〇労働党
20世紀初頭にイギリスで漸進的改革により社会主義を実現しようとする人々が結集してつくった政党です。
保守党とともに現代のイギリスで二大政党政治を展開しています。
現在は、保守党と労働党の二大政党制になっています。

揺れる二大政党制?
小選挙区のみに選挙制度だと二大政党制になりやすく、イギリス議会は保守党と労働党の二大政党制だと解説しました。
イギリス議会の下院は任期5年ですが、以前は比較的容易に解散が可能でした。
しかし、2011年の議会任期固定法の施行により、首相が議会を解散させるためには定数の3分の2以上の賛成が必要になり、簡単には解散できなくなりました。
2017年にはイギリスのEU離脱を命題に解散総選挙が行われましたが、
保守党が勝利するも単独過半数にはならず、ハングパーラメント状態。
かつてのイギリスでは階級社会の性格が強く、中間層や裕福層は保守党、
労働者階級は労働党という性質がありましたが、現在はイギリス社会も多様化しています。
また、保守党と労働党の主張が似通ってくると両党に不満を持つ有権者も出てきてしまうわけです。
2019年8月現在、EUからの強硬離脱を実現しようとするジョンソン氏が投票しましたが、
イギリスの政治体制も変革が求められているのかもしれません。

まとめ
この記事ではイギリスの政党の歴史について解説しました。
さかのぼると、ピューリタン革命以降にイギリスの政党政治は発達をしました。
トーリ党とホイッグ党から二大政党制がスタートしたわけですね。