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治安警察法と治安維持法とは?わかりやすく解説。目的と犠牲者など。

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この記事では治安警察法と治安維持法について解説します。

1900年に制定された治安警察法。1925年に制定された治安維持法。

それぞれ政府による市民の運動を取り締まるために制定された法律でした。

 

治安警察法とは?

集会、結社、言論の自由や労働運動を取り締まるための法律

 

1880年代に自由民権運動が高まりを見せた時に政府は政治活動を取り締まるために、集会及政社法という法律を作り取り締まりました。

1900年に制定された治安警察法は、これに労働運動を取り締まる内容を盛り込んだものとなります。

 

1886年頃から日本では企業勃興が起きました。

つまり、会社の設立ブームです。

この時期に日本は金本位制を導入して、通貨の価値が安定したこともあり会社の設立が相次いだのです。

これにより日本にも産業革命が起きて、工場制機械工業が導入されました。

賃金をもらい労働を行う賃金労働者が増えると資本家との対立が激しくなります。

1880年代後半は労働者による労働環境の改善を求める運動や、社会主義という思想の普及によって労働者は労働活動を強めていきました。

1900年に制定された治安警察法は、この労働運動の高まりを背景に制定されたのです。

資本主義と社会主義の違いについては『資本主義経済とは?わかりやすく解説。社会主義経済との違い。』の記事をご覧ください。

 

当時の山形有朋内閣がそれまでの治安立法の集大成として治安警察法を制定したのです。

臣民の言論の自由、出版・表現の自由、集会・結社の自由は「法律の範囲内」で存在するという大日本帝国憲法の法律の留保ということです。

 

管理人
労働運動を取り締まるために制定された法律なんだね!

 

治安維持法とは?

天皇制及び資本主義体制の変革を目指す反体制運動や社会主義運動を取り締まるための法律

治安維持法は共産主義者を取り締まるために作られた法律です。

共産主義とは?

財産を社会で共有する考え。労働者が平等な社会を作り資本主義経済を否定する考え方。国が計画経済を行い景気の変動が起きないようにする社会主義の思想をより発展させたもの。

共産主義の考えでは経済発展を否定して、国家さえもいらないと考える。

共産主義に関して詳しく知りたい方は『共産主義とは?わかりやすく解説。レーニンが社会主義政権を実現。』の記事をご覧ください。

 

近隣の国に目を向けてみると1917年にロシアではロシア革命が起きて社会主義国家が誕生しました。

日本の政府はロシア革命により日本国内でも社会主義運動が激化すると懸念していたのです。

 

それまでは納税額や年齢などにより有権者を制限する制限選挙が行われていましたが、

普通選挙法の制定により20歳以上の男子であれば、誰でも選挙に参加できるといことで

政府は社会主義者達にも選挙権が与えられ、国政に影響を及ぼすのではないかと心配したのです。

そのため、治安維持法が制定されました。

 

治安維持法は当初は共産主義革命運動の過激化を懸念して制定されましたが、

宗教団体や左翼運動、自由主義や市民運動にも広がっていきました。これは軍国主義に突入したという時代背景があります。

のちに予防拘禁制の導入や処罰に死刑が加えられ、国民生活全般を統制できるようになったのです。

 

犠牲者数は廃止される20年間の間に逮捕者だけで数十万人いるとされています。

特に1930年代以降の軍部が政権を握った後は、政権や国体に反対するだけでも治安維持法により逮捕されたのです。

 

管理人
もともとは共産主義者を取り締まり目的で作られたんだね!

 

まとめ

この記事では治安警察法と治安維持法について解説しました。

治安警察法は1900年に労働運動の高まりにより制定された法律で、治安維持法は1925年に社会主義者運動を取り締まるために制定された法律です。

大日本帝国憲法では「法律の範囲内」で人権が保障されていた法律の留保です。

現代では基本的人権として尊重されている人権も大日本帝国憲法下では法律により厳しく統制されていたのです。

 

法律の留保に関しては以下の記事をご覧ください。

法律の留保とは?わかりやすく解説。「法律の範囲内」が臣民の権利。

 

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