この記事では2020年に導入が検討されている走行税について解説します。
2018年11月に与党が検討を開始した自動車の走行距離に応じて税の負担が検討されている、
いわゆる「走行税」が再び話題になっています。2019年4月にはNHKも走行税について特集を組んでいました。
本日、2019年8月26日にはtwitterにて「1km5円も?」という件が話題になっているのです。
走行税についてじゃ、少し一人歩きしている様子もあるので、走行税について詳しく解説したいと思います。
走行税の導入検討の背景
現代の自動車に対する考えに応じて変化が検討されている自動車の走行距離に応じた税金
自動車は「保有する」から「利用する」に変化しています。
今までの日本の社会では自動車は購入して保有するという価値観がありましたが、
社会の変革によりカーシェアリングの導入が進んでいます。
カーシェアリングの導入だけでなくガソリン車もEVやハイブリット車(HV)に移行しています。
自動車には購入、保有、利用の三段階でそれぞれ税金がかかります。
カーシャアリングの増加とハイブリット車の増加により、既存の税制だと購入、保有、利用の三段階で税金が取れなくなってしまうのです。
〇2019年8月段階の自動車にかかる税
自動車取得税(増税時廃止予定) | 自動車税 | 自動車重量税 | ガソリン税 |
購入時 | 毎年1回 | 車検時 | 利用時 |
購入価格の3%(自家用) | 排気量に応じ29,500円~111,000円 | 0.5トンあたり4,100円(自家用) | 1リットル53.8円(暫定) |
税収1,600億円 | 税収1.5兆円 | 6,600億円 | 2兆5,000億円 |
現状、自動車の購入、保有、利用には上記の税金がかかりますが、
電気自動車の普及によりガソリン税収が大幅に減収することが予想されています。
先進国のドイツやイギリスでは2030~2040年頃を目途にガソリン車の販売を禁止する事が検討されており、
今後も環境保護を鑑みた時に電気自動車の普及が期待されています。
日本でもガソリン車から電気自動車への移行が進み、現状のガソリン税2兆5,000億円が大幅に減収されてしまうのです。
自動車税も排気量に応じて課税されるため、排ガスの無い電気自動車では減収となります。

走行税導入の本格的議論開始
社会変化と技術革新により、自動車税とガソリン税の大幅な減収が予想されています。
2050年頃にはガソリン車は消滅することが予想されており、電気自動車に切り替わると税収が2割程度になってしまうとも資産されています。
これは2兆円程度なので消費税の1%相当になります。
与党は2018年12月中旬に『自動車関連税制の抜本的な見直し』を与党税制改正大綱に盛り込みました。
→ https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/138664_1.pdf
2019年10月からは消費税の増税もあり、10月以降の新規自動車取得に関しては税金を引き下げる方向になっています。
2020年以降には走行距離に応じた走行税の導入が検討されています。
アメリカの1部の州では車の重量と走行距離に応じて課税する仕組みが導入されており、
ドイツではトラックに限り走行税が導入されています。
ニュージーランドでは小型バスなどに1,000キロにつき約5,000円の走行税が導入されています。
早ければ2019年の冬から本格的な走行税導入の議論が始まり、
2020年には導入が予定されています。

走行税導入の問題点は?
走行税の導入には問題点も指摘されています。
走行した距離に応じて税金を支払う設計のため、「どれだけ走行したか?」を監視する必要があります。
GPSを使った走行距離の測定にはプライバシー保護の観点から反発が強く、
フランスではトラックに走行税の導入が予定されていましたが、撤回が余儀なくされました。
日本でも同様の反発が起きることが予想されています。
自動車税は地方の税収とも呼ばれていますが、
これまで「保有」に関して税金をかけていた内容が「保有」に関しては減税を行い、
「利用」に対して課税をしていく方針になっています。
車が無ければ生活が困難な地方や運送会社の負担が増加する事が予想されています。
政府はエコカー減税などによりエコカーの技術革新を推進してきました。
しかし、今回の電気自動車に対する走行距離に応じた走行税の導入により、逆に技術革新を抑制してしまうのでは?という懸念も広がっています。

まとめ
この記事では走行税について解説しました。
社会の変革と技術革新より、カーシェアリングや電気自動車の普及が予想されています。
これまでの自動車にかかる税金は排ガスやガソリンに応じて課税を行うものであり、
今後の社会の変化によって税収が大幅に減収することが予想されています。
2018年12月の与党税制改革大綱では、「走った距離に応じて課税」という走行税の導入検討が明記されていました。
twitterでは1km5円などの噂も立っていますが、新たに増える税金の分、ガソリンにかかる税金が減っている点にも注目したいですね。
交通機関に関して言えば、1つのアプリで電車、バス、タクシー、飛行機などの交通手段が
予約&決済ができるようになるMaaSが期待されています。
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