この記事では大きな政府と小さな政府について解説します。
ドイツの社会主義者ラッサールは国家をあまりにも自由奔放にしてしまうのは、夜の警備くらいしかやることがない夜警国家だとして批判しましたが、
国家の役割をどこまで及ぼすか?についての議論は大きな政府、小さな政府とう概念無しでは語れません。
今回は大きな政府と小さな政府について見ていきましょう。
大きな政府と小さな政府とは?
大きな政府
行政機能の増大に伴い、国がすすんで財政や経済の政策を行って、国民福祉を充実させていく機能を持った政府。
現代の国家ではスウェーデンがイメージしやすいかもしれません。
スウェーデンは医療や介護などの福祉が手厚い代わりに消費税が20%と重い負担となっています。
大きな政府は主に北欧の政府に見られ、アイスランド、ノルウェー、フィンランドなどの政府は一般歳入に対して一般歳出の割合が高くなっています。
つまり、税金の負担が大きい代わりに高福祉を受けられるというメリットがあるのが大きな政府です。
小さな政府
政府の役割を国と治安維持などに限定して、できるだけ小さくした政府のこと。
特に経済は自由放任のもとで神の見えざる手によって健全に発展するというアダム=スミスの考えが基本にあります。
小さな政府では政府による市場への介入をできるだけ小さくして、自由主義に任せる「個人の責任」を重視しています。
日本では国民皆保険制度があるので、病院に行っても高額な医療費を請求されることはありません。
仮に医療費が高額になっても「高額医療制度」を利用すれば、実質個人の支出は大きくなることはありません。
一方、アメリカでは国民皆保険制度ではないため、1回の手術で何十万円ものお金が請求されてしまうといった事もあります。

大きな政府と小さな政府のメリット・デメリット
スウェーデンなどのヨーロッパの国では大きな政府になりやすく、アメリカや韓国、オーストラリアの国では小さな政府になりやすいです。
では、大きな政府と小さな政府のそれぞれのメリット・デメリットについて見てみましょう。
大きな政府のメリット
・社会的弱者に対しての保護が手厚い
・生活保護が受給しやすい
・所得や資産が少ない人は公共サービスを受けやすい
大きな政府のデメリット
・税負担が大きい
・所得や資産が大きい人には不公平感がある
・政府の介入が大きく競争が阻害されやすい
大きな政府では経済活動や国民の生活に政府が介入する割合が大きいため、教育や医療などの公共の福祉が充実していますが、重い税負担から市場競争が阻害される懸念があります。
北欧の国では教育費が大学まで無料であったり、年金が充実していて高齢者の医療費も充実しているため国民は安心感を持って生活ができるという点はメリットを感じるかもしれません。
小さな政府のメリット
・企業に競争の原理が働く
・税金が安い
・社会保障費が安い
・格差拡大、治安の悪化
小さな政府のデメリット
・自己責任
・社会保障が手薄い
・格差拡大、治安の悪化
小さな政府では税負担が少ない代わりに社会保障や医療費は自己責任に依るところが大きいです。
一部の成功者に富が集中する傾向にあり、結果を出せす人にとっては税負担も少なく生活しやすいかもしれません。
大きな政府と小さな政府はどちらが優れているか?ではなくトレードオフの関係にあり、
何かが充実していれば、何かが不足しているという関係だと言えるでしょう。

まとめ
この記事では大きな政府・小さな政府について解説しました。
大きな政府であるスウェーデンでは国民の負担率が50%以上となっているため、一生懸命働いてても給料の半分以上は税金や社会保障費として支払わなければなりません。
一方で、教育や医療などのサービスや老後の生活費などは国によって保障されてます。
一方、小さな政府である日本やアメリカでは、自己責任によるところが大きいですが、成功者には恩恵が得られる制度となっており、
どちらも一長一短と言えるでしょう。